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交流会

「協和キリン株式会社 豊泉 夏紀さん(ペイシェント・アドボカシー)」

司会:協和キリン株式会社 吉田 聡子さん

コミュニケーション力の習得は容易でない
それでも経験の積み重ねで身についていく

司会協和キリンの吉田と申します。
この交流会のファシリテートをさせていただきます。
質問希望の参加者の方に順番に質問していただき、弊社の豊泉さんにお答えいただきます。
最初の方、どうぞ。

学生ご講演ではコミュニケーションスキルがとても大切だというお話がありました。
セミナーのFirst StageのDay 1でも、さまざまな方がコミュニケーションスキルの大切さを指摘されていましたが、コミュニケーションスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。
雑談する力なのか。
 端的に話す力なのか、あるいは考え方が合わない人とうまくやっていく力なのか、具体的に教えていただけますか。

豊泉今おっしゃった雑談する力や端的に伝える力、あるいは少し嫌だなと思う人と上手にコミュニケーションできる力は、いずれも大切です。
なぜなら、私も働いていていつも感じることですが、社内で何か業務を進めるにしても、外部の人と業務を進めるにしても、話さないで仕事を進められることは一つもないからです。
相手にする人が職種によっては社内だけということもありますし、患者さんやお医者さんなど外部の方とお話しすることもあります。
そのように相手が変わっても、仕事をしていく過程ではコミュニケーションはとても大事なことだと思います。
たとえば、コミュニケーションにおいては雑談だけできればよいということはなく、やはり総合的なコミュニケーション力が必要だと思います。
そういう意味では、コミュニケーション力をどう磨いていくのかは決して容易ではありません。
私は人と話すことが好きで、初めて会った人でも嫌だな苦手だなとあまり思わず、けっこう楽しくお話しすることが出来るかなと思いますし、どんな人とでも割と話をしてしまうところがあると思います。
ただ、周囲の方の話では、知らない人と話すことのハードルがとても高く、何を話したらいいのかわからないという人も少なくありません。
それを変えるのは経験ではないかと思います。
そもそも私も以前は人前で話すことが苦手で、入社したときは、本日のような講演会で発表することはもちろん、医療従事者の方と話すこともとても苦手で、毎回緊張していました。
実は今日も緊張しています。
そうしたときでも、もし外面的にそう見えていないとすれば、やはり十何年働いてきた経験の積み重ねでそうなってきたのだと思います。
ですから、苦手だと思ってもまずはやってみることです。
 その繰り返しの中で、自分のコミュニケーションスキルが少しずつ上がっていくのではないかと思います。

学生とにかく話してみることがまず大事だということですね。

豊泉そうですね。学生であれば周囲には学生や先生ですとか、限られた人とのコミュニケーション機会が多いと思いますが、こういう場で初めて私と話すことも一つの経験になると思います。
 ですから、どんどんこうした交流会に参加されるのもよいのではないでしょうか。

司会ご質問をありがとうございました。
ぜひ、いろいろな人とのコミュニケーションにチャレンジしてもらいたいと思います。
私もコーポレートコミュニケーション部にいますが、コミュニケーションが上手な人が揃っているわけではありません。
ただ中には、聞くのがうまいという人もいます。
言葉が少なくても雄弁だと感じることはあります。
  チャレンジすることが大事だと思いますので、ぜひ頑張ってみてください。

職場での話し合いでも患者との接遇でも
相手の立場の理解と話す内容の準備が必要

司会職場でのコミュニケーションなどについて、ほかに質問があればお願いします。

学生ご講演の中で職場では調整力も重要だというお話がありました。
具体的にどのようなときに調整力が大事になってくるのか、いろいろなものを調整する際に気をつけていることや優先順位など、教えていただけますか。

豊泉先ほどRare Disease Day(注1)というイベントを社内で実施していることをお伝えしました。
2月28日は世界的にRare Disease Dayとして認知されていますので、当社では2月をRDD月間としてイベントを展開しています。
これを始めるに当たり、さまざまな部署との調整と言いますか、相談が必要でした。
私たちはコーポレートコミュニケーション部という立場でお話しするわけですが、このイベント一つにしても、人事部やマーケティング部をはじめ、会社の各部署の方がそれぞれの立場で同じイベントに取り組むことになります。
しかし、部署が異なると業務の内容も異なるため、しばしばものの見方に違いもあります。
そのため、「何でそれをやるの?」「意味があるの?」といった声もときには出てきます。
ですから、この部署だったらどういう疑問が出るだろうか、日々の業務の中でこれをどうやれば生かしてもらえるだろうかというところまで事前に検討し、ある程度準備をして話を持っていくようにしています。
そうした姿勢で相談すれば、相手側も真摯に話を聞いてくれます。
先ほどのコミュニケーション力に関連することですが、一方的な思いではなく、高圧的にならず、相手側のことも考えて話を持ってきているということが伝われば、それだけでも調整が一歩うまく進むと思います。
 そもそもスタートラインが違うわけですから、「ちょっと相談したいのですが」という気持ちで話を持っていくことを、意識できるとよいのではないかと思います。

学生たとえば患者さんと話すときも、どういうことを質問されるのかを考えておくなど、事前準備が必要ということですね。

豊泉患者さんと接するときはその方が抱えている疾患がわかっていることがほとんどですので、その疾患はこういう特徴がある、もしかしたら当日もこういうことが起きるかもしれないということを念頭に置いてお話しするようにしています。
また、患者さんが言われたくないと思っているタブーもきっとその病気には含まれていると思うので、それを事前に情報として持っておくことも大切です。
そういう点を何も知らずに話をすると、患者さんを傷つけてしまう可能性もあるからです。
先ほどの社内調整とは少し違いますが、患者さんとお話しする際も十分な事前準備がやはり必要になります。
今のご質問も、質問の内容をきちんと考えてから質問されたと思いますので、それも準備の一つだと思います。
何か、人に言葉を投げかけるときに、話そうとする内容を事前に反芻することはとても大事だと思います。
 短い時間でよいので、それを心がけていただくことが大切だと思います。

患者さんたちが困っていることを共有し
その解決策に一緒に取り組むことも大切

司会ただ今患者さんとの接遇についてのお話がありましたが、追加質問はありますか。

学生ご講演の中で「患者さんに笑顔をお届けできること」を評価基準に挙げられていたと思います。
具体的にと言いますか、今まで患者さんに笑顔になっていただけた経験の中で、特に印象的なことがあれば教えていただきたいと思います。

豊泉講演の冒頭でお話ししましたが、私は現在の部署に10月に異動したので、まだ数カ月しか経っていません。
そのため経験もまだ浅いのですが、それでも患者さんの支援団体の方々とお話しさせていただくときに、患者さんたちが困っていることを数多くお聞きします。
その中で、自分たちの病気のことをだれかに伝えるときに、なかなかうまく伝えられないという話がありました。
私たちも製薬会社として自社の薬や疾患に関することは勉強しており、病気の特徴やしばしば起こる症状などについてお話することもありますが、一般の方々とお話しするときはまず、「そのワードは何?」というところから始まります。
つまり、用語の説明から始まるわけです。
薬や病気の情報だけではなく、用語の紹介ですとか、分かりやすい言葉で説明するなど、そういったことも含め、患者さんがほかの方に病気のことをうまく伝えるための資料が必要だと思います。
今そういうツールを作成するための働きかけを始めているところです。
まだ形にはなっていませんが、患者さんたちが困っていることを私たちにも共有いただき、その解決策に一緒に取り組むことで、患者さんたちに喜んでいただけるのではないかと思っています。
それも一つの笑顔の経験ではないかと思っています。

医師への情報提供は正確に適切に端的に
患者さんとのかかわりも医療者を介して

司会製薬産業は患者さんに直接働きかけることがなかなかできない業種です。
そのため、私どもの活動にはわかりにくいところもあると思います。
何かそうしたところに関してご質問はありますか。

学生今自分が将来なりたいものとしてMRを考えています。
できれば現在通っている大学で抗がん剤系の研究をして、その後MRとして医師や薬剤師の方たちに情報提供なり薬の説明をして、その延長線上で患者さんに薬が届けられればいいなと思っています。
ただ先ほど、MRは医師などと一緒に患者さんの声を聞く機会もあるとお聞きしました。
MRは一般的に薬の営業職というイメージが強いと思いますが、具体的にどのように患者さんに接するのかイメージできないので、そこを知りたいと思いました。教えていただけますか。

豊泉私はMRを12年間経験しましたが、その過程で患者さんと接点を持てたことは1回もありませんでした。
患者さんと接点を持てたのは、私がペイシェント・アドボカシーの仕事に就いてからです。
MRはどうしても薬の営業のイメージが先行するわけですが、薬のことを紹介してただ売れればよいというわけではなく、その薬はどういった方に使用いただく薬剤なのか、注意点、用法・用量など適正に使用いただくための情報を医師をはじめとする医療従事者に届けることも業務の一つです。
それをしないと、その先にいる患者さんまで情報が届きません。
ですから直接ではないのですが、MRは医療者と話をする機会はあるので、そういうところで情報提供をしたり、疾患啓発ツールをお届けしたりして間接的に患者さんにかかわる、つながりを持つということになります。
また患者さんの声、いわゆる患者さんからのフィードバックも、医師を介して知ることになります。
そういう流れの中に、私たち製薬企業と患者さんとの接点はあります。
そうしたとき、直接患者さんには情報提供できないけれども、医師を介して情報が伝えられているのだとあらためて感じます。

学生あくまでもドクターや看護師さんをサポートする過程で、間接的に患者さんとつながっているというイメージですね。

豊泉そうです。患者さんとダイレクトに接することはなかったです。

司会製薬産業には非常に厳しいルールがあるので、プロモーションにならないように気をつけなければいけない業界だと私たちは思っています。
 プロモーションに関する法令、業界規制、自主規制は非常に厳しいものです。

学生患者さんに直接売り込みをしてはいけないわけですね。

司会正しい情報を医師や看護師、薬剤師等を介して患者さんにお伝えいただくことが大原則です。
それをしっかりと守らなければならないけれども、医師を通してフィードバックしていただいた患者さんの声もまた会社に持って帰ってきて、それを次の医薬品開発に生かしていくという流れになっていると思っていただければと思います。

学生ありがとうございます。
もう一つ、コミュニケーションについて質問させてください。
MRのときに、医師の方とのコミュニケーションで何か気をつけることはありましたか。
情報は正確に、適切に伝えなければいけないと思いますが、そのときに失敗したと思ったこととか、何か留意されていることがあれば教えてください。

豊泉正確に、適切に、かつ端的にというところは、医師の方への情報提供ではとても大事だと思います。
いろいろなケースがありますが、午前の診療が終わって午後の診療までに少し時間があるようなときに私たちが訪問できれば、ゆっくりデータを見て、一つひとつ細かく聞いていただけます。
ただ基本的には忙しくされていることが多いので、データにしても情報にしても今日伝えたいことを1点に絞り、その要点を端的にお伝えできればよいと考えています。
10分かけて話すのではなくて、1分で伝えたほうが先生方も受け入れやすいので、そういうことを心掛けていました。
たとえばその1回で伝えられなかったら「また来週来ます」と言えば、先生方も心にゆとりを持ってくれるかもしれないし、何回も訪問する中で信頼関係の構築も期待できます。
そういう意味では、先生方の反応を見ながら、あえて来週に回そうと考えたこともありました。

グローバル・スペシャリティファーマを目指し
希少疾患を中心に医薬品開発に取り組んでいる

豊泉次の質問を受ける前に、私から講演の内容について一つ補足させてください。
講演では、入社前と入社後のギャップの話をさせていただきました。
私は入社後に思っていたことと違うと思ったことがないと言いました。
もしかしたらそれは本当なのかと疑われているかもしれないし、会社から言わされているのではないかと思った方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、私は本当にそう思っています。
その理由は、もともと製薬会社に大きな夢を抱いていたわけではなく、絶対にここでこれを成し遂げようなどといった大それた思いもなかったからだと思います。
逆に入社してみたら思ったより仕事が楽しいとか、思ったより自分にもできることがあるとか、わりとポジティブな印象が多かったので、そう思えたのではないかと考えています。

司会これまでの豊泉さんのお話に関連して、何か製薬企業についての質問はありませんか。

学生私は4月から医学部に進む予定です。
仕事の話とはまったく関係なく製薬業界に興味を持っているので、会社について三つほど質問させてください。
一つ目として、御社ではどのような人物像が活躍されているのかという、いわば社風をお伺いしたいと思います。
二つ目は、ほかの製薬企業にはない御社の強みを教えて下さい。
三つ目として、御社では今どのようなことを課題と考えておられるのでしょうか。
よろしくお願いいたします。

豊泉質問をありがとうございます。
ここは私だけでなく司会の吉田さんからもコメントをいただいたほうがよいと思います。
まず、私が感じる活躍している人というのは、当たり前のことですが、どんな仕事でも一生懸命前向きに取り組んでいる人です。
そういう人は一つの部署にとどまらず、さまざまな部署に異動しながら活躍し続けているという印象があります。
一方、最初に配属された部署ではなかなかうまく行かないこともあると思いますが、そういうときにうまくかないな、嫌だな、辞めてしまおうかなと考えている人は、一概には言えませんが負のスパイラルというか、うまくいかない状況がずっと続いてしまっているような気がします。
うまくいかないときにも現状に負けずに、どうしたら改善できるのか、そこから自分が脱却できるのかということに真摯に向き合って取り組みを続けている人は、やはり何かしら成果に結びついていると思います。
その後も会社でステップアップしていっているのではないかと思っています。
吉田さんのご意見を聞かせてください。

司会そこは逆に、いろいろな人がいてよいと思っています。
特にグローバル化の流れにある現在は、これまでうまく行っていた人が意外と行き詰まることもあります。
そうしたときは、いろいろな人がいないと解決できないことが多いと思っています。
リーダーになる人たちの勝負の鍵は、いろいろな人たちでチームをつくれるかどうかにあるように思います。

豊泉ありがとうございます。
次に二つ目の弊社の強みについてですが、実は現中期経営計画では4つの強みのある疾患領域を活かし、研究開発をしています。
この4領域は会社の強みだと思います。
また、その業務のなかで、希少疾患の患者様にも貢献できないかということで、その点については薬とアドボカシーの両面で取り組んでいます。
病気と向き合う人々を一人でも多く救うことを大きな目標として掲げているところは、協和キリンの強みの一つだと思います。
それから今は国内だけでなく、海外にもどんどん活躍の場を広げています。
地球上の多くの方に貢献するための活動ができていると思っています。
吉田さん、いかがでしょうか。

司会私どもは今、グローバル・スペシャリティファーマになるという目標を掲げているので、オールラウンドにすべての領域に関わるというよりは、私たちが届けていかなければならないと特定した薬を開発し、それを提供することを目指しています。
その中の一つが希少疾患の薬です。
世界的にも稀な疾患で、一つの国に患者さんが一握りしかいないかもしれないけれど、この薬を本当に待っている人たちに届けられるのは幸せだなと思います。
ただグローバル・スペシャリティファーマを目指した取り組みはまだ10年目を迎えた程度ですので、それほど簡単に基盤はできません。
しかも、レギュレーションが異なる国々のそれぞれで承認を取得するのは本当に大変です。
それでも世界に薬を届けられるだけの開発力、製造力、販売力を兼ね備えたバリューチェーンをグローバルで確立していくことが、現在の弊社の課題です。
 やりがいはありますが、その道のりは決して容易ではないと考えています。

医師と患者のパイプ役になることが
ペイシェント・アドボカシーの役割

司会最後の質問になりますが、どなたかいかがでしょう。

学生先ほど、ペイシェント・アドボカシーは「患者さんに寄り添うことができる仕事だ」とおっしゃっていましたが、実際には患者さんと医師の方の間で板挟みになるなど、仲介者なりの大変さもあるのではないでしょうか。
そのあたりについて伺えますでしょうか。

豊泉おっしゃるとおりで、医師の方と接点を持つ機会と患者さんたちと接点を持つ機会というところで、両方からの悩みを聞きながら板挟みのようになることはたしかにあります。
ただ、私は板挟みという感覚はあまり持っておらず、どちらかというとつなぎ役になれるのではないかと強く思っています。
たとえば希少疾患を例に挙げると、なかなか診断がつかなくて、そのまま5年とか7年とか患者さんが診断がつかない状況で悩み続けるケースがあります。
その一方で、医師の方たちは、自分のところに来てくれたらこういう検査をして見つけてあげられるのにと思っているのに、そうした思いがなかなか患者さんに届いていないことが少なくありません。
そういうとき、私たち製薬会社は橋渡し役として間に入り、先生方はこういうことを思っていますとか、何か不調を感じたらこのことをお医者さんに伝えてみてくださいとか、患者さんにお伝えする役割を担っていると感じています。
あるいは、その患者さんが先生のところにダイレクトに行けなくても、別の医療機関を受診して最終的にはその先生にたどり着くこともあると思います。
ですから板挟みというよりは、パイプ役と考えているわけです。
  そうした役割を様々な形で果たしていくことで、少しずつでも患者さんや先生方の悩みがなくなっていくことを願っています。

学生私も患者さんにヒアリングをしたときに、なかなか病院にかかれなかったとか、そもそも症状が軽すぎて病院に行っていいのか、行くべきなのかわからなかったという声もありました。
そういうときにつないでくれる豊泉さんのような方がいれば、とても安心できるし、早い解決につながると思いました。
ありがとうございました。

豊泉ありがとうございます。
実際に、何か自分や周囲の人に不調なことが起きた場合、こんなことで病院に行っていいのかと思う人はたくさんいるはずですし、自分の状態が本当に大したことではないのか、それとも重大なのか、原因は何なのか等、わからないことが多いと思います。
健康面や自分の体調に不安を抱えている方や、不調を感じたときに迷わず病院に行ける、一歩踏み出せるようになるように、私たち製薬企業が働きかけをして、患者さんと医療機関のつなぎ役になるための支援活動等が出来ればといいなと思っています。

司会そろそろ終わりの時間になりました。
皆さんありがとうございました。

注1:特定非営利活動法人 ASrid (日本語名:アスリッド) の行っているRDD2022 in Japanに賛同し、時期を合わせて社内で啓発イベントを行いました

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